薬の飲み方で効果が変わってしまう、体への負担が変わってくる、子供が薬を上手く飲めない、薬を飲むには冷水じゃなくて常温水?大きな薬を割って飲みやすくする、むせてしまう粉薬を飲みやすくする方法…
そんなくすりにまつわる疑問をまとめました。
薬の基本的な飲み方
食前 |
食事前の30分~1時間以内 |
食後 |
食後の30分以内 |
食間 |
食事と食事の中間。朝食が7時で昼食が12時なら9時半から10時位に薬を飲む。 |
寝る前 |
就寝の30分~1時間前 |
頓服 |
症状が現れたら飲む。痛みが出た時など。 |
薬を飲み忘れたら、効果が下がる?血中濃度を一定にすることが大切
寝込んでいる時などは就寝時間や起床時間が不規則になりがちで、食欲もないことから決まった時間に薬を飲むことが難しい場合があります。
1日3回服用する薬ならば1回目を飲んでから次の服用まで4時間ほど間を開けて飲みましょう。薬は飲んでから1時間から2時間ほどで薬の効果が最大になります。
薬が効くためには血中濃度がある程度一定になっている必要があります。薬の効果がピークを迎えてから徐々に血中濃度が下がっていき、薬の効果が薄れてきた頃に次の服用時間になるように計算されています。
抗ウイルス剤などはウイルスを抑える薬なので服用時間をまちまちにして飲むと薬で抑え込んでいるウイルスが、服用を忘れることで増殖したりすることも考えられます。
寝込んでいて服用時間が開いてしまった時はその後の服用時間が一定になるように調整することで薬の効果を高められます。しかし多くの薬がある中で、特に抗がん剤などを使っている時は自己判断ではなく薬剤師に相談することはとても大切です。
薬は白湯で飲む?冷たい水は?お湯ではだめなの?
結論から言えば薬を飲むためには常温の水、湯冷まし、白湯が最適です。

夏場などは冷たい水で薬を飲みたくなりますが、冷たい水は薬の溶けを悪くしてしまい効果が現れるのに時間がかかったり、胃を荒らしてしまうような強い薬の場合は吸収するための時間が長くなるために胃への影響も考えられます。
また冷たい水は体を冷やすことになり、病気そのものの治りへの影響も見落とせません。
お湯だったら良いか?といえば薬が変質してしまうことがあるので避けた方がいいでしょう。水よりはお湯のほうが薬の吸収が早まり、効果が現れるのば早くなります。しかし熱すぎるお湯ではかえって薬の効果を落とすことがあります。
消炎酵素剤などのタンパク質でできている薬(アクディーム,イルザイム,エリチーム,塩化リゾチーム,エンピナース・P,ガスチーム,キモタブ,キモタブS,ケジフェン,シマターゼなど)は熱いお湯で分解してしまうことがあります。
よく使われる薬としては副鼻腔炎で使われている塩化リゾチームがあります。薬の効果を最大にするために熱すぎるお湯でなく、ぬるま湯を使いましょう。
薬を飲むためのぬるま湯の量はコップ一杯200cc

チュアブル錠といって水分無しで飲める薬があります。(乗り物の酔い止めや幼児向けの薬、吐き気止めや下痢止めなど)このような薬は水分無しで飲んでも問題が起きないように作られています。
水分無しで薬が飲める人、がいらっしゃいます。小さな薬ひとつに大げさと考える人やトイレが近くなるのを避けてほんの少しの水分で飲む人などそれぞれ事情が違っていますが、これも薬の効果を下げることがあります。薬は水分が無いと溶けないため、吸収が不完全なまま体の外へ出てしまうことがあります。
さらに怖いのは水なしで飲んだ薬が食道や喉の奥へ引っかかり張り付いてしまうことです。張り付いて溶けだした薬は唾をのむ位では流れて行きません。
強い成分の薬だと食道などに炎症を起こすこともあります。薬によっては飲んでからすぐに横になることを禁止しているものもあるほどです。胃炎や食道炎を起こしてしまうと栄養状態が悪化することになるのでもともとの病気の治りも遅れてしまいます。
薬を飲むのに最適な水分の量はコップ1杯です。500mlのペットボトルだと三分の一から半分位飲むと薬の溶けが良く吸収されやすくなります。薬を飲む必要がある時は常温の水ペットボトルを持ち歩き、胃炎を起こさないようにしましょう。
薬を飲む時、「アレ」で飲むと飲み合わせが悪くなり副作用も!
薬を飲むための水分はなんでも良いというわけではないようです。薬の香りや味が苦手でごまかしながら飲む人はまだまだ多く、思わぬ作用が起きることがあります。
子供は薬を飲むのが苦手なことが多いですが、ジュースなどで飲ませるよりも糖衣錠やシロップなど飲みやすいものを選んだり、オブラートなどを使うなど薬の効果を妨げない工夫を考えましょう。
緑茶で薬を飲むと効果が薄くなる?

お茶をいつも飲んでいる習慣の人は、いつもの習慣でお茶で薬を飲もうとする人が多いです。お茶にも色々種類がありますが緑茶に含まれるタンニンが薬の作用を妨げることがあります。特に貧血などで鉄剤を飲んでいる人は緑茶成分に注意が必要です。鉄分はタンニンと結びついてしまい、体に吸収されることなく体の外へ排出されてしまいます。
緑茶にはポリフェノールやカテキンなど健康に良い作用があるものですが、服薬中は薬の相互作用を考えて時間を置いて飲むと良いでしょう。もちろん薬剤師さんに薬を受け取る時に尋ねておくと安心です。
牛乳で薬を飲むと胃を荒らさない?
胃が悪い人の中には薬を牛乳で飲む人がいます。胃の粘膜は牛乳によって守られるので胃炎を予防する効果があります。しかし牛乳の作用によって吸収が早まったり、逆に遅くなるなど思いがけない結果につながることがあります。便秘薬などは腸で作用しなければ効果が期待できないのですが、牛乳を飲むことで胃で溶けてしまって便秘をこじらすことになります。
牛乳と一緒に飲んでも問題ない薬と吸収に影響がある薬があると考えていいでしょう。薬は多くの種類があり、飲み合わせや食事習慣なども併せて考える必要があります。薬によって胃腸が荒れる人や胃炎が心配ならば処方してくれる医師へあらかじめ相談したほうが確実で安心です。その際、多くのケースで胃薬が処方されますが薬が正しく作用される環境が整うのです。
コーヒー、紅茶、コーラ、ウーロン茶などカフェインが多い飲み物で薬を飲むとどうなる?
カフェイン入りの水分は知らず知らずのうちに体や精神状態へ影響していきます。カフェインは覚醒作用があり、眠気覚ましに最適ですが薬の中には眠くならないようにカフェインが含まれているものがあります。薬に含まれるカフェインにさらに飲み物でカフェインをとるので過剰になり、イライラしたり眠らなければならない時にも眠れなくなったりします。
またカフェインの影響で頭痛が始まることもあります。子供に喘息がある場合はコーラなどのカフェインが含まれている清涼飲料水には注意が必要です。喘息の薬とカフェインは相性が悪く副作用がでることがあり、嘔吐や下痢、時にはけいれんなどを起こすことがあります。
100パーセントジュースと薬の飲み合わせは?グレープフルーツジュースに要注意!
グレープフルーツジュースと薬の飲み合わせが悪いことは徐々に知られてきていますが、他のジュースはどうでしょうか。食品とあまり変わらない感覚で飲んでいる人は野菜ジュースやオレンジジュースで薬を飲むことに抵抗がありません。特に青汁などはかえって健康に良いと考える人もいらっしゃいます。果たして薬の作用に影響するのでしょうか?
グレープフルーツジュースは薬への影響が大きく副作用が起こることもある
グレープフルーツジュースは薬への影響が大きく、また悪影響がある薬の種類が多いため全く飲まない方が良いでしょう。服用してから時間を空ければ良いと考える人もいますが、グレープフルーツジュースの作用は24時間も続き、薬自体の作用も長いもので2日から3日持続するものもあるので相互作用を避けるためには薬を服用している期間は食べることも止めた方が無難です。どうしても食べたい時は医師や薬剤師と相談するのが一番でしょう。
すべての柑橘類は薬に影響があるのか?避けるべきジュースや果物は?
グレープフルーツジュースなどのように薬に影響がある柑橘類は他にもあります。サワ―オレンジ、夏ミカン、ブンタン、はっさく、ポンカン、金柑、スィーティ、伊予かん、柚子などはグレープフルーツと同じように服薬中は避けましょう。
逆に薬に影響がない柑橘類としてカボス、マンダリンオレンジ、温州みかん、バレンシアオレンジ、レモンなどがあります。
判断に困るようなことがあれば医師と薬剤師へ相談するのが一番良いでしょう。
野菜ジュースで薬を飲むと飲み合わせが良くない?
野菜ジュースと薬はさほど影響があると考えられていません。大きな問題はなさそうですが、薬の吸収にシビアな場合や血中濃度を一定に保つ必要がある薬を飲まれる場合はやはりぬるま湯で飲んだ方が無難でしょう。
青汁と薬の飲み合わせは問題ない?
青汁に含まれるビタミンkがワーファリンという薬と飲み合わせが悪いです。この二つは効果が全く逆に働いてしまうのでワーファリンの作用が打ち消されることになります。ワーファリンは血栓(血液の塊)を作らないようにするための薬ですが、青汁と一緒に飲むことで効果薄まり脳卒中や心筋梗塞などのリスクが上がります。
ワーファリンを処方される人は他にも納豆やクロレラも禁止されています。ついうっかりということがないように注意しましょう。
薬が大きくて飲めない場合や半分だけ飲みたい時
喉が敏感な人や薬に抵抗を感じる人は、薬のサイズが少しでも大きい時に水だけ飲んでしまって肝心の薬は喉に残ったままという事があります。上を向いて水と一緒に飲むと飲みやすいのですが、うまくいかない時は薬を割って飲む方法もあります。ただし、薬を割ることで吸収が早まることがあるので薬剤師へ相談しておいた方が安心です。
薬を粉々にして飲む方法、ピルクラッシャー
また小さな子供の場合、病院で処方される薬は粉薬やシロップで薬を処方されることが多いですが市販薬では錠剤タイプもあるので飲みにくいと感じることがあります。こういった場合、紙に錠剤を入れて金づちなどで砕く方法もあります。この方法だと粉になるので飲みやすくはなりますが飛び散ってしまって薬の成分が減ったりすることがあります。また粉になることで苦味などが強く感じられることもあります。オブラートやゼリーに包むと苦くないのですが、金づちだとまばらに粉砕されたりして毎回のことになると面倒になってきました。
そこでテコの原理?を利用したスクリュー式の錠剤クラッシャー MY-8110 φ55×H44mmを使ってみました。原理としてはネジ回して潰すだけのシンプルさですが、小さな力で綺麗に粉々になります。値段が結構高い気がします…が力を入れるものなので強度の強いポリカーボネートが使われているため、原材料費による高値ですね。安価な類似品だとねじ山が壊れたりヒビが入りそうです。
お手入れはサッと洗えば済みますが出先ではちょっと面倒です。でも出先でも薬を粉にできるのはこれを買った最大の利点です。ペンチや金づちをレストランには持ち込みにくいです…。
大きい薬を半分、四分の一にして飲む方法、ピルカッター
おすすめは錠剤を半分に切る方法です。鍵つきタブレットカッター (アソート赤・青)が透明で中の錠剤の様子が分かりやすくて切りやすいと思います。
他にも不透明な錠剤カッターもあります。持ち歩く人で飲んでいる薬の種類を見られたくない人は不透明な方がいいかもしれません。はさみで薬を切る方式で専用のハサミ錠剤カットはさみHAYASHI(誰でもらくらくタイプ)【日本製】もあります。ハサミは手入れしやすいし長持ちしそうですが、切った薬が飛んで行くのが面倒だな~と思いましたが、今レビューを見ると「正確に切れる」「丈夫」「あまり飛び散らない」という意見もあり買ってみようか揺れています。箱型のピルカッターはお出かけ用にして自宅ではハサミを使って見るなど使い分けもいいかもしれません。箱型ピルカッターで切りにくい錠剤がハサミでは綺麗に切れるという意見もあり、脆い錠剤はハサミだと崩れやすいというレビューもあるので両方あってもいいと思います。
大きい薬、錠剤を粉薬にも半分にもできる、さらに保管もできるピルカッター
Amazonをのぞいていたら錠剤をカットすることも粉砕することもできるピルカッターが売っていました。ちょっと前まで無かったような気もしますが、レビューの少なさから最近出始めた商品かもしれません。
EZY DOSE カット&クラッシュ 錠剤粉砕器は錠剤を切ることも粉砕することもできて、薬を保管しておくスペースもあるようです。材質が明記されていないので耐久性に疑問が残ります…。錠剤クラッシャーのようなポリカーボネート製ならこっちの方が魅力的です。これから錠剤カッターを買う人はこれを買うと一石二鳥かもしれません。
薬が飲みにくいのは人間だけではなくて、むしろペットなど動物のほうが拒否反応は強いです。無理強いしても吐いてしまったりペットが逃げ出してしまったり、飼い主のほうがモヤモヤイライラしてしまうなど良くない雰囲気になりがちです。薬を上手く飲んでくれる子だと良いですが、動物的な感覚が強い子ほど薬を嫌がるような気がします。「薬を飲みたがらない」なんて飼い主の責任みたいに思われそうでなかなか相談できる場所もないんですよね。
上記で紹介したピルカッター、ピルクラッシャーは動物の薬にも使えます。ワンラック (ONE LAC) 注入器で薬を混ぜたごはんを一緒にあげると薬と気づかれにくいと思います。普通のシリンジよりも先端が太いので使いやすいです。
食欲がたっぷりあるペットにはグリニーズ ピルポケット チキン味 犬用 Greenies Pill Pockets for Dogs (90g) [並行輸入品]もおすすめです。猫用もあります。これは食餌に薬を混ぜる方法ですが、一粒一粒に薬を入れるポケットがあってこっそり忍ばせることができます。食餌にこだわりが無いペットならこれが一番良い方法だと思います。
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