田んぼに現れるくねくねは実は日本古来のカカシと関わりがあるんじゃないか?という検証をしてみました。
どうしてくねくねは田んぼによく現れるのか?
くねくねが現れる場所は田んぼが多いです。この話でも舞台は田舎の田んぼです。しかも季節は夏。
季節が夏、ということでくねくねは熱中症の症状という説をとなえたいですが、この話に出てくるカカシ…もしかしたらくねくねの正体はカカシのたぐいかもしれないという説を紹介します。
これは小さい頃、秋田にある祖母の実家に帰省した時の事である。
年に一度のお盆にしか訪れる事のない祖母の家に着いた僕は、早速大はしゃぎで兄と外に遊びに行った。
都会とは違い、空気が断然うまい。僕は、爽やかな風を浴びながら、兄と 田んぼの周りを駆け回った。そして、日が登りきり、真昼に差し掛かった頃、ピタリと風か止んだ。
と思ったら、気持 ち悪いぐらいの生緩い風が吹いてきた。僕は、『ただでさえ暑いのに、
何でこんな暖かい風が吹いてくるんだよ!』と、さっきの爽快感を奪われた事で少し機嫌悪そうに言い放った。すると、兄は、さっきから別な方向を見ている。
その方向には案山子(かかし)がある。
ここに現れるカカシですが、実はくねくねです。
くねくねは案山子によく似ている
『あの案山子がどうしたの?』と兄に聞くと、兄は『いや、その向こうだ』と言って、
ますます目を凝らして見ている。僕も気になり、田んぼのずっと向こうをジーッと見た。
すると、確かに見える。何だ…あれは。
この記述からくねくねは遠目から見るとカカシそっくりなのがわかります。
遠くからだからよく分からないが、人ぐらいの大きさの白い物体が、くねくねと動いている。
しかも周りには田んぼがあるだけ。近くに人がいるわけでもない。僕は一瞬奇妙に感じたがひとまずこう解釈した。
『あれ、新種の案山子(かかし)じゃない?きっと!今まで動く案山子なんか無かった
から、農家の人か誰かが考えたんだ!多分さっきから吹いてる風で動いてるんだよ!』兄は、僕のズバリ的確な解釈に納得した表情だったが、その表情は一瞬で消えた。
風がピタリと止んだのだ。しかし例の白い物体は相変わらずくねくねと動いている。
兄は『おい…まだ動いてるぞ…あれは一体何なんだ?』と驚いた口調で言い、気になってしょうがなかったのか、兄は家に戻り、双眼鏡を持って再び現場にきた。
くねくねは風が吹いている時の案山子に似ている?ようなことが書かれています。というか新種の案山子…。
見ただけで狂ってしまうくねくね
次の場面でお兄さんがくねくねを双眼鏡ではっきりと見てしまうわけですが、見た途端に変調をきたします。
兄は、少々ワクワクした様子で、『最初俺が見てみるから、お前は少し待ってろよー!』と言い、
はりきって双眼鏡を覗いた。すると、急に兄の顔に変化が生じた。
みるみる真っ青になっていき、冷や汗をだくだく 流して、ついには持ってる双眼鏡を落とした。
僕は、兄の変貌ぶりを恐れながらも、兄に聞いてみた。『何だったの?』
兄はゆっくり答えた。
『わカらナいホうガいイ……』
すでに兄の声では無かった。兄はそのままヒタヒタと家に戻っていった。僕は、すぐさま兄を真っ青にしたあの白い物体を見てやろうと、落ちてる双眼鏡を 取ろうとしたが、
兄の言葉を聞いたせいか、見る勇気が無い。しかし気になる。遠くから見たら、ただ白い物体が奇妙にくねくねと動いているだけだ。少し奇妙だが、
それ以上の恐怖感は起こらない。しかし、兄は…。よし、見るしかない。
どんな物が兄に 恐怖を与えたのか、自分の目で確かめてやる!僕は、落ちてる双眼鏡を取って覗こうとした。
遠目からだと奇妙なだけで怖くない、でも双眼鏡で見ると冷や汗が流れるほど恐ろしいもの…。一体くねくねとは何なのか?
昔から知られているくねくねの正体
その時、祖父がすごいあせった様子でこっちに走ってきた。僕が『どうしたの?』と尋ねる前に、
すごい勢いで祖父が、『あの白い物体を見てはならん!見たのか!お前、その双眼鏡で見たのか!』
と迫ってきた。僕は『いや…まだ…』と少しキョドった感じで答えたら、祖父は
『よかった…』
と言い、安心した様子でその場に泣き崩れた。
僕は、わけの分からないまま、家に戻された。
この話ではどうやら祖父はくねくねの正体を知っているようです。しかも見たらとんでもないことが起こることも知っている様子。
で、怖いのが見なかっただけで「その場に泣き崩れる」ほど安心する…というエピソードです。
み、見たらどうなっちゃうの…?見た兄はどうなるの?!!!
くねくねを見たらくねくねになる?
くねくねを見たと判明したら、くねくねの正体を知っている人全員が泣いている展開になります。
帰ると、みんな泣いている。僕の事で?いや、違う。よく見ると、兄だけ狂ったように笑いながら、
まるであの白い物体のようにくねくね、くねくねと乱舞している。僕は、その兄の姿に、あの白い物体よりもすごい恐怖感を覚えた。
そして家に帰る日、祖母がこう言った。『兄はここに置いといた方が暮らしやすいだろう。
あっちだと、狭いし、世間の事を考えたら数日も持たん…うちに置いといて、何年か経ってから、田んぼに放してやるのが一番だ…。』
僕はその言葉を聞き、大声で泣き叫んだ。以前の兄の姿は、もう、無い。
また来年実家に行った時に会ったとしても、それはもう兄ではない。
何でこんな事に…ついこの前まで仲良く遊んでたのに、何で…。僕は、必死に涙を拭い、車に乗って、実家を離れた。
世間の事を考えたら何日も持たない…?ってどういうことだろう。世間から兄を隠しておくことができないってことでしょうか。
そして何年か経ってから田んぼに放す…?
田んぼにいたくねくねはもしかしたらこういう犠牲者なんでしょうか。普通の人がくねくねを見ただけで数年したら真っ白なくねくねに変化して、また田んぼに放たれる…?という連綿としたものがあるのかもしれません。
くねくねになった人は理性を保っている可能性
この話では兄は気がおかしくなってしまいます。なのでこの地に兄だけは残ることになります。
祖父たちが手を振ってる中で、変わり果てた兄が、一瞬、僕に手を振ったように見えた。
僕は、遠ざかってゆく中、兄の表情を見ようと、双眼鏡で覗いたら、兄は、確かに泣いていた。
表情は笑っていたが、今まで兄が一度も見せなかったような、最初で最後の悲しい笑顔だった。そして、すぐ曲がり角を曲がったときにもう兄の姿は見えなくなったが、僕は涙を流しながら
ずっと双眼鏡を覗き続けた。
この時、お兄さんが見せた悲しい笑顔は「弟が自分と同じ目に合わなくて良かった。けれどここでお別れが悲しい、自分の境遇が悲しい」という心情だと思います。
つまり、くねくねと踊り狂っているように見えるけれど完全には理性を失ってはいないということです。
どういうことか?
これは体を何者かに乗っ取られている、自分の意思では体を思い通りに動かせない状態という事なんだと思います。くねくねを見ただけで、一体何が取り付くというのか?というのがくねくねの恐ろしさですね。
『いつか…元に戻るよね…』そう思って、兄の元の姿を懐かしみながら、
緑が一面に広がる田んぼを見晴らしていた。そして、兄との思い出を 回想しながら、ただ双眼鏡を覗いていた。
…その時だった。
見てはいけないと分かっている物を、間近で見てしまったのだ。
カカシは神様の依り代
カカシは田畑の害獣よけとして使われています。
現代では、遠目で見ると人のように見えるから「人間を怖がる鳥や獣を追い払うため」というふうに理解されています。
けれど、カカシはもともと久延毘古(くえびこ)という神様をかたどったものです。クエビコという神様は色んなことを知っている神様だと言われています。
またクエビコとは「崩れ彦」と書くこともあり、体が崩れた男という意味もあります。
くねくね=崩れ彦?
崩れ彦という別名は体が崩れている、というのは雨風にさらされたカカシが朽ちていく様をあらわしていると言われていますが…。
くねくねは崩れ彦ということは考えられないでしょうか。くねくねしている様子が崩れた男、という解釈です。つまりくねくねは人知を超えた神である可能性です。
くねくねとは人柱か?
正気でなくなった兄を数年したら田んぼに放す…というくだりがあります。これは昔から日本にあった人柱を意味しているのかもしれません。
犯罪者やごくつぶし、精神薄弱者を実際に生きたまま案山子にして人柱として扱ったこともあったようです。
(恐ろしい習慣すぎてできればフィクションであってほしいけど、昔の慣習は神に捧げると人も神として供養できる、みたいな理屈があるので本当にあったことだと思われます)
だから、祖父が兄を数年したら田んぼに放つというのは、数年したら兄を案山子に仕立てる、という意味でくねくねを知っている老人たちは兄の行く末をはっきり知っていて、皆で泣いているわけです。
案山子=くねくね説を裏付ける話
案山子と神様の関係について調べていたら、案山子の神様という怖い話を見つけました。


この話によると見た目が全く持ってくねくねそっくりなものを目撃した後に、その正体が「案山子の神様」だと聞かされるという話。
特徴から何からくねくねだろ?と思わせる内容です。
くねくねと案山子の関係、まとめ
まとめると、
- くねくねとは案山子の神様であるということ
- 案山子の神様は間近で見た人を引き込む力があるらしいこと
- 案山子になった人達がどうして時空を超えて現れるかは謎
- 精神薄弱者、犯罪者、ごくつぶしがかつて人柱として案山子になった可能性
案山子とくねくねとは何かつながっているような気配がしますが、
どうして今、現実に現れるのか?
目的はなんなのか?
という根本的な理由が全く思い当たらないので、やっぱり恐怖の対象です。得体が知れなすぎです。
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