バルーンのシャルルという曲(特にセルフカバー)が歌詞、曲ともに素晴らしいので書こうと思います。
バルーンのシャルルとは
もともとはボーカロイド曲です。バルーン名義で作って原曲はボーカロイドが歌っています。おすすめは作曲者本人が歌っているセルフカバーバージョンです。
ボーカロイド曲は嫌いだったけど
私はボーカロイド曲って嫌いだったんです。なんかクッサイ感じがあって。中学生が好むような曲なイメージ、というか偏見がありました。
シャルルはセルフカバーをはじめに聴いたので、ボーカロイド曲だとは知らなかったんですよね。だから聴いたとも言えるけど。
耳から離れない曲
曲というかリズムというか、上下にアップダウンしながら叩き込んでまくし立てて言い切って、畳みかけて…。
でも要点はちゃんと押さえていて、言いたいこと、感情がしっかり表現されている…という。
音楽の良さって言葉にするのが難しいですが、シャルルという曲はとってもなんだか文学的なリズムがあります。
歌詞も良い
曲自体が文学っぽい感じですが、歌詞も文学です。そして歌詞も解説?というか分析?翻訳してみます。
歌詞解説
シャルルというのはフランス語で男の意味なので男性から見た恋愛模様な歌ですね。浮かれた歌じゃなく別れの歌です。
相手の女の子から別れを切り出される
さよならはあなたから言った それなのに頬を濡らしてしまうの
そうやって昨日の事も消してしまうなら もういいよ 笑って
花束を抱えて歩いた 意味もなく ただ街を見下ろした
こうやって理想の縁に心を置き去っていく もういいか
自分から別れるって言ったくせに泣くとか。無責任に被害者ぶっている女性の姿が浮かぶんですが…。これから、って時に、なんで別れるとか言うんだ?もういいや、という感じでしょうか。
放心、幸せ願望
空っぽでいよう それでいつか
深い青で満たしたのならどうだろう
こんな風に悩めるのかな
別れを切り出されて何にも考えたくないわー、いつか幸せになったらこんな風に悩むんかなぁ
キレてしまい、自分も別れを決意
愛を謳って雲の上 濁りきっては見えないや 嫌 遠く描いていた日々を
語って夜の群れ いがみ合ってきりがないな 否 笑い合ってさよなら
両想いだって愛し合ってるって言ってたよね?でももうあの子との未来が全然見えない、嫌だなぁ~。将来だって夜な夜な話てたのに、嫌い合ってばっかり。
もうそんなのいやだから、笑い合って別れたい。
彼女への未練
朝焼けとあなたの溜息 この街は僕等の夢を見てる
今日だって互いの事を忘れていくんだね ねえ そうでしょ
黙っていよう それでいつか 苛まれたとしても
別に良いんだよ こんな憂いも意味があるなら
朝まで彼女と一緒だったのに、彼女はため息をついている。まだ自分は彼女との未来を考えているのに彼女はもう自分に気が無いみたい…。未練があるけど黙っていようかな、あとで後悔するかもしれないし、悲しいけど、悲しいのもいいのかも。
相手不在の恋愛へ
恋と飾って 静かな方へ 汚れきった言葉を 今 「此処には誰もいない」「ええ、そうね」
混ざって 二人の果て 譲り合って何もないな 否 痛みだって教えて
ずっと彼女と恋愛してるつもりだったけど、喧嘩しない方向へもっていって穏便に話したい…。だっていつもお互いがお互いの相手をしていないから喧嘩になるんだ。
彼女も自分も自分のことばっかり大事だった、自分を愛してくれないから喧嘩になったんだ。彼女も同じことを感じてたんだ。
2人ともお互いの距離をはかってどうにもならない、2人の関係はもしかしたら愛なんてなくて辛いものだった?
愛し合えるかもという希望
きっとわかっていた 騙し合うなんて馬鹿らしいよな
ずっと迷っていた ほらね 僕等は変われない
そうだろう 互いのせいで今があるのに
2人とも恋愛しているつもりだったけど、自分を愛して欲しかっただけで相手を愛していないことに気づきます。けどいつか愛せるように、愛し合えるようになるかも…と別れを迷っていたけど、結局変われないことに気づきました。
これは自分だけじゃなくて、彼女も自分を偽ったから、自分も自分の気持ちを偽ったから今に至ったんだ…。
恋愛ごっこだったふたり
愛を謳って雲の上 濁りきっては見えないや 嫌 日に日に増えていた後悔を
語って夜の群れ 許し合って意味もないな 否
愛し合ってきたなんて言ってたけど、もう将来なんて見えなくなって彼女との未来は完全に不透明になりました。感じていた違和感、お互いが別れを意識していたことを話し合ってきたら、お互いに責任があったことが分かります。
もう表面上だけの関係だったけど、いつか愛せるかも…という相手を思いやっての行動だったのでお互いが許し合います。でもこんなのは恋愛じゃない、そんな気持ちです。
溢れる思い出と別れ
愛を謳って雲の上
語って夜の群れ
哂い合ってさよなら
(いよいよ曲が盛り上がる曲調になります。)
なんだか悲しくなるような感じがして(お互い愛されていないから)恋愛しているつもりだった日々が思い出されます。何日も一緒に過ごして話し合った毎日に思いがよぎります。
けど、どうにもならなかった。結局本当の愛は生まれなかった。相手はこの人じゃなかった。そんな相手への失望が「哂い合って」の別れになりました。
なんつーか、激しい感情が伝わる
バルーンの中の人は須田けいなという人らしいんですが、シャルルの曲調からは激しい感情が伝わります。正確に言うと激しくなったり、冷静になってみたり。
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こんな曲は実体験がないと作れないような?気がするので「一体どんな恋愛しているんだ」と思ってインスタグラムみたら、結構なイケメンじゃないですか。
声も歌い方もイケメン風なんでボーカロイド必要なのか?と思います。
ビデオ解説
PVも曲にあったイメージが詰め込まれていて見ごたえがあります。シンボルになるものをまとめます。
階段
曲の中盤あたりに階段が出てきます。男が階段を上って女が階段を下る…まったく逆の方向へ進んでいることを表しています。
ベランダ
ビデオに出てくる左右の家は男と女のそれぞれの家、もしくは男の人、女の人そのものをあらわしていて、2人の未来が見えないときは塗りつぶされたり、左右に切り離されてたりしています。
クロッカスの花
画面の左右に咲き乱れるヤツ、クロッカスの花です。
花言葉が青春の喜び、切望だそうです。
紫のクロッカスは愛の後悔だそうで、ビデオの中で色が反転したり、色が変わるのは二人の関係が微妙に変わっていく様子を表しているのかも。
街灯
街灯の明かり=二人の未来です。
語った夜には明かりがついていた街灯ですが、消えてしまい別れを決意しますね。
街灯の変化が二人の未来が見えなくなっていく過程を表現しています。
文字
否、嫌、語って、謳って、という文字がバシバシでてきます。これは曲のリズムをとる効果もありますが、一番主人公である男の感情を表現する文字になっています。
語って、謳って、が尻上がりな音で気持ちを保っていたのに、否、嫌、で音を落として決断したことを表現しています。
まとめ
シャルルはカラオケでものすごく歌われている人気曲です。曲も歌詞も良いので是非みてください。
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